BOOK HUNTING

ノンフィクション系の新刊、近刊を平日5冊、週30冊ペースで紹介。児童書から医学書まで。

『誰でもできるロビイング入門』明智カイト

『誰でもできるロビイング入門』明智カイト

ロビイングというと、石油メジャーや全米ライフル協会や国際ヘッジファンドなどの活動(あるいは暗躍)が連想され、あまり良い印象は持たないだろう。だが本書でのロビー活動とは、そういったものとは一線を画す。強者がより強くなるためのロビイングではなく、弱者がその立場から脱しようとするためのものだからだ。

陳情という言葉を使わず、あえてロビイングとしているのは、それも「誰にでもできる」と付けているのは、弱者ないしマイノリティが、実際のアクションに面しての、心理的な抵抗を減らそうとする配慮からだろう。無暗な政治参加をうながすものではないが、切実に政治的な助けを必要とする者にとって、本書はその一助となるはずだ。

本書でいう「ロビイング」とは、業界団体が「もっと金よこせ」と言って政治家に圧力をかけることではない。日本ではあまり行われてこなかった、弱者やマイノリティを守るために政治に働きかけることである。

誰でもできるロビイング入門 社会を変える技術 (光文社新書)

誰でもできるロビイング入門 社会を変える技術 (光文社新書)