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BOOK HUNTING

ノンフィクション系の新刊、近刊を平日5冊、週30冊ペースで紹介。児童書から医学書まで。

Books of the Month(1月編)

開設してから紹介した155冊の中から、俺が読んで面白かったものを紹介する。雑な読書感想文なので、そういうのがダメな奴はタイトルだけ確認するといい。俺も書評のたぐいは苦手だ。


『森は考える - 人間的なるものを超えた人類学』エドゥアルド・コーン

この本は人を選ぶ。気軽にオススメできない。だからむしろ「読むな」と言いたい。科学的には思えないだろうし、聞きかじった程度の哲学では、まるで理解できないだろうからだ(と言っても専門知識が必要なわけではない)。ひょっとするとオカルト本に思えるかもしれない。
ここまで読んで、「ああいう奴か! 絶対読むわ!」ってなる奴は、読んでも大丈夫だろう。それ以外はやめといた方がいい。必ず後悔する。分からなすぎてイライラして、俺に八つ当たりされても困る。トンチンカンな感想も見たくない。
ただ残念ながら、この本は傑作だ。ページをめくりながら、脳髄の奥が熱くなる。本当はそこに何が書かれているのか、しばしば本を伏せてイメージを膨らませねばならない。実に楽しい時間だ。かすかな手がかりから、アタマに新しい回路を自力で切り開く必要もある。ものすごく疲れる。まったく人にすすめられない。

森は考える――人間的なるものを超えた人類学

森は考える――人間的なるものを超えた人類学



『菌世界紀行 - 誰も知らないきのこを追って』星野保

打って変わって、こっちはタランティーノの映画みたいな本。滅法おもしろいんだけど、後には何も残らない。そんな感じ。けなしているわけではない。そういうタイプの楽しい本って言いたい。
だけど滅法おもしろいのに、後には何も残らない感じの人生って、最高の生き方だよな。いやマジで。俺も星野みたいになりたい。

菌世界紀行――誰も知らないきのこを追って (岩波科学ライブラリー)

菌世界紀行――誰も知らないきのこを追って (岩波科学ライブラリー)



クルアーンを読む』中田考橋爪大三郎

剣豪同士が本気で斬り合ってて、うかつに近づくと死ぬ本。だが面白い。
宗教談義で白熱するが、それで言い争いになったりすることはなく、互いに礼節をわきまえ、それでいて隙あらば殺そうとしている空気が最高。もちろん敵意の介在はない。説明が難しいが、要するにそんな本だ。俺に書評感想文を期待する方が悪いんだよ。



天皇のイングリッシュ』保阪正康

皇室関係はデリケートなトピックなので、そういう意味でも紹介しにくいが、この本のおもしろさを伝えるとなると、さらに難しいな。筆致は冴えてて、抜群のテキストコントロール。さすが保阪。うまい。それでいて当然おもしろい。ヘタな奴がマネすると初回炎上確定だ。まずは完投を讃えつつ、さっそく次の作品に取り掛かれと言いたい。



アルパインライミング考』横山勝丘

クライマー横山のエッセイ集。よく分からないものの正体を探ってる時の、あの愉悦を堪能できる良書。横山にとって山は日常なので、さも知って当然かのように登山用語が飛び交い、時にクライミング美学が披露される。そういうのと無縁な生活を送っている俺には、まるで別世界の話すぎて、置いてきぼりを食らう。多少ボルダリングやトレッキングをたしなんでいる人間でも、横山がガチすぎて放置感を味わうと思う。
では、つまらない本かというと、全然そんなことはない。おそろしく刺激的だ。子供だましの漫画や絵本が、子供にすらつまらないように、シロート相手に分かりやすい話をされても、その手の話はだいたいクソつまらない。この本はその逆で、ふつうの読み手のことなど一切考慮せず、カッコいい登り方だの、クールなルートだのの話が続く。具体的にそのカッコよさが説明されることはない。おそらく山遊びに魅了されている横山本人もまた、その辺はうまく言葉にできないのかもしれない。しかし、それだからこそ俺は行間に耳を傾けたし、ジャンボ横山も飽きずに山に出かけるはずだ。

アルパインクライミング考

アルパインクライミング考

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