BOOK HUNTING

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『政治思想家としてのグルントヴィ』オヴェ・コースゴー

『政治思想家としてのグルントヴィ』オヴェ・コースゴー

どこの国にも巨人と呼べる歴史上の人物がいるものだ。名前を聞いたこともないような、このデンマークニコライ・フレデリク・セヴェリン・グルントヴィもまた、その一人と言えるだろう。

知られざる建国の父みたいなポジションか。デンマーク国内では、アンデルセンキルケゴールよりも尊敬を集めているらしい。デンマーク語の普通教育Wikipediaで開くと、グルントヴィの名前が確かに認められる。なるほど、そういう人物なら納得だ。こういう大物は、国の大小にかかわらず、だいたいユニークで興味深い。

ちなみに、一般的な意味でのグルントヴィの職業は、宗教家ということになるだろうが、やってることが多岐に渡りすぎ、ちょっと簡単にはまとめられない。無理にくくれば、教育者、詩人、思想家といった具合か。デンマークの精神性を根っこから理解したいなら、この本は大いに役立つだろう。

近代デンマークの国民・国家形成は、グルントヴィと彼の影響を受けた人々(とくにホイスコーレ運動に参加した知識人、民衆)によってなされた事業である。
教育思想家・教会改革者・詩人と位置づけられていたグルントヴィは「自由と平等の闘士」であった。デンマークが今日のような民主国家になった理由がわかる。

政治思想家としてのグルントヴィ

政治思想家としてのグルントヴィ