BOOK HUNTING

ノンフィクション系の新刊、近刊を平日5冊、週30冊ペースで紹介。児童書から医学書まで。

『実践 大工道具 仕立ての技法: 曼陀羅屋流研ぎと仕込みのテクニック』手柴正範

『実践 大工道具 仕立ての技法: 曼陀羅屋流研ぎと仕込みのテクニック』手柴正範

スマホを買い替えたら、いろいろ初期設定を変更するし、バイクの場合だと慣らし運転をやるし、冷蔵庫のケースでは仕切り板を調整したりする。わりと普通にみんなやってることだと思う。これは広い意味での仕込みに分類されるだろう。

その一方で、金づち、カンナといった大工道具は、まったく仕込みも調整もせずに使っている。というか、そういった道具を「仕込む」という発想が、そもそも俺には無かった。いや、「九分仕込み」と言われても、なおピンと来てない。

しかし世の中には、デフォ状態でノコギリやカンナを使うことを「よし」としない世界があり、仕込んでから使うという。なるほど、そういった切削器なら、かろうじて理解できる。しかしハンマー(玄能)を仕込むってのは、かなり理解しにくい。金づちの何をどう仕込むっていうんだ? だが考えようによっては、「スマホを出荷時設定で使うのはダサい奴」とするように、「デフォのハンマーを使ってる奴は情弱」って見方もありうる。

ところで著者の働いている曼陀羅屋のサイトは、古き良きホームページの趣きがあり、何だかちょっとホッとする。意識高めの勉強会のスナップとかが、FBに貼られてなくてよかった。なお、通販で1万円以上の買い物をすると、店主製作の木工DVD(鉋を研いでる映像など)がプレゼントされる模様。

道具屋やホームセンターなどで売られている大工道具は、そのままでは使うことのできない「九分仕込み」という状態で売られていることをご存じでしょうか?

日本伝統の大工道具は、事前に使う人の手によって、研いだり調整したりといった、仕込みの工程を経て、道具として仕立てられるものです。本書では、仕立てのテクニックを集積してきた筆者が、その道具術を詳しく解説します。