BOOK HUNTING

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『ダッハウ強制収容所自由通り』 エドモン・ミシュレ

ダッハウ強制収容所自由通り』 エドモン・ミシュレ

第二次世界大戦を生きた人間の話には、「冗談だろ、それ(絶句)」というのが多く、本書もそれに属するものだろう。よく知らなかったので、とりあえずダッハウ強制収容所を調べてみたら、なるほど、ひどい収容所だ。とても「自由通り」というエリアが存在するとは思えない(悪趣味で命名したんだろうが)。

さて、米英がイニシアチブを握りがちな国際社会において、何かとフランスは独自の立場を取りたがる。いわゆるド・ゴール主義だ。この本の著者エドモン・ミシュレ(※仏Wikipedia)は、強制収容所を生き延びた後、政治家としてド・ゴール政権下で要職をいくつも務めている。ちなみにシャルル・ド・ゴールもまたレジスタンスの生き残りだ。

歴史のパーツがピタッと嵌まった感じがしないだろうか。おそらくフランスは国を占領されたことで、米英とは異なる嗅覚を持つようになった。では、ナチ占領下での体験とはどんなものか? 本書はその一例を鮮明に示してくれるだろう。

ド・ゴール政権下で国防相や法相、文化相などを歴任したフランスの政治家エドモン・ミシュレによる、ダッハウ強制収容所実録「物語」。
他のナチスによる強制収容所と同様、人間の尊厳を徹底的に剥奪される環境のなかでの生活を、抑制された筆致、ミシュレならではの視線で描写する。

ダッハウ強制収容所自由通り

ダッハウ強制収容所自由通り