『あなたを変える魔女の生き方』西村佑子

魔女といっても美魔女とかの方面ではない。本物の魔女だ。何しろ書き手の西村は、およそライフワークと言っても差し支えないほど、魔女に入れ込んでる奴で、カタい魔女本をいくつも出してる。それだけでなく、グリムの館で『グリム童話の魔女たち』展を開いたり、ドイツまで行って魔女街道ツアーの講師を何度も務めていたりもする（このツアー最終日は、魔女祭りとして有名な「ヴァルプルギスの夜」。なお西村は、ドイツ魔女街道の生みの親ともされる）。つまり、ガチの本物なわけだ。

ただし、過去の書籍『「グリム童話」の魔女たち』、『ドイツメルヘン街道夢街道』、『魔女の薬草箱』は、いずれも堅実な内容で好評価を得ており、決しておかしな人物ではない。大学でドイツ語講師も務めたし、ドイツ語教本を何冊か出している。そう、まっとうなキャリアを積んでいる。

だが、今作はどうだろう。紹介文を読んでも、だいぶ意味が分からない。魔女になるための入門書で、腰帯の推薦文は占星術の鏡リュウジが書いている。いったい何があったんだ……。ただの高等なジョークなのか、それとも妖しい降霊術にでも成功したのか。他人事ながら心配になってしまう。もっとも、本人には昔から魔女になりたい願望があったようなので、どっちにしろ問題はないのかもしれない。