『キリスト教と戦争』石川明人
『キリスト教と戦争』石川明人
バナナを見るとサルを連想するように、キリスト教と聞くと戦争をイメージしてしまう俺は、もう救いようがない。しかし同じ病を石川も抱えていたようだ。これで俺の罪深さも半分に減るんだろうか。
誰もが疑問に思うであろう、キリスト教国が戦争に明け暮れているナゾ。本書では、聖書の記述、そしてアウグスティヌスやルターなど神学者たちの言葉を手がかりに、キリスト教が武力行使を正当化するロジックを明らかにしようとする。サルとバナナの話は出てこない。
個人的には、愛を説きながら暴力を振るう行為を正当化できてしまえた場合、「ドメスティック・バイオレンスのクズ野郎を喜ばせる結果にもなるのでは?」と思う。仮にゲスなDV犯が、「愛してるから殴った。ルター曰く」などと始めたら、反射的に殴りたくなるだろう。だが殴ってしまっては、同じレベルに落ちるだけだ。通報してブタ箱に見送りたい。
世界最大の宗教、キリスト教の信者は、なぜ「愛と平和」を祈りつつ「戦争」ができるのか。
本書では、キリスト教徒がどのように武力行使を正当化するのかについて見ていく。平和を祈る宗教と戦争との奇妙な関係は、人間が普遍的に抱える痛切な矛盾を私たちに突きつけるであろう。
- 作者: 石川明人
- 出版社/メーカー: 中央公論新社
- 発売日: 2016/01/22
- メディア: 新書
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