BOOK HUNTING

ノンフィクション系の新刊、近刊を平日5冊、週30冊ペースで紹介。児童書から医学書まで。

『解読ジェフリー・バワの建築 - スリランカのアニミズム・モダン』岩本弘光

『解読ジェフリー・バワの建築 - スリランカの「アニミズム・モダン」』岩本弘光

インフィニティ温泉は大人気だ。水面と水平線が一体化し、まるで無限(インフィニティ)に湯船が広っているかのような感覚を味わえる。この原型インフィニティ・エッジ・プールを作ったとされるのが、スリランカの天才建築家ジェフリー・バワだ。もともとは弁護士をやっていて、何を思ったか38歳のとき建築家に転身した。

そして、アマングループを築き上げたエイドリアン・ゼッカと出会うことで、バワの才能は開花することになる。インフィニティに代表されるように、人工物(建築)と自然の垣根を取り払うかのような、極めてモダンで革新的なホテルをつぎつぎに手がける。中でも白眉はヘリタンス・カンダラマ(Heritance Kandalama)だ。廃墟のように見えて、それでいて超未来的。

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photo by David Leo Veksler

ここで話は、もう一度インフィニティ風呂に戻る。アマンの創業者エイドリアン・ゼッカは、日本に滞在していたことがあり、リゾートホテルのヒントを日本旅館から得たとされる(リップサービスかもしれないが)。そのゼッカとバワは出会い、やがてインフィニティプールを作り、いくつもの傑作ホテルを手掛ける。インフィニティは日本に入ると、風呂文化とミックスされ、インフィニティ温泉となる。おいおい、何とも奇妙な縁じゃねーの!

そんなわけで、今度もしインフィニティ風呂に入ることがあれば、スリランカの建築家を思い出して欲しい。その名はジェフリー・バワ。露天風呂のような思想でホテルを作った男だ。

バワはどのようにしてバワになったか。

アマングループがホテル建築の原型としたことで知られるスリランカの建築家、ジェフリー・バワ。スリランカの混成文化を現代建築に翻案した天性の建築家・バワとその作品のほぼ全容を紹介する。