『テロの文学史 - 三島由紀夫にはじまる』鈴村和成
『テロの文学史 - 三島由紀夫にはじまる』鈴村和成
作家たちは、なぜテロを描いてきたのか? この問いは、そんな難しいものに思えない。文学は弱者の立場から描かれがちだし、弱者が手にできる武器はそれほど多くなく、その中のひとつがテロであるので、結果としてテロが描かれることが目に付くようになる。そんな感じだろう。
またテロは、追い詰められた者が手にする武器でもあるので、仮にフィクションにおいてテロの描写が多くなったとしたら、それは時代を映しているとも言える。あるいはテロは、安易に閉塞感を打開できるツールでもあるので、娯楽小説にちょっとした刺激をトッピングしたい場合にも使える。そう、ちょうど「異世界に飛ばされた!」とか、「謎の能力者が攻めてきた!」とか、ラノベにありがちな設定のように。
てなことを頭に入れた上で、この本を読むと、おもしろいかもしれない(認識のズレも含めて)。ちなみに1月はほとんど同じタイミングで、上岡伸雄が『テロと文学 - 9.11後のアメリカと世界』という新書を出してる。併読もアリかもな。
- 作者: 鈴村和成
- 出版社/メーカー: 太田出版
- 発売日: 2016/01/30
- メディア: 単行本
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