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【番外エントリ】 祝はてな上場! 株主になりますか? →

いよいよ本日、はてな(3930)がマザーズに上場することになりました。「この機会にはてな株を購入しようかな?」と素朴に思ってる人も多いでしょう。そんな人に向けた、おそろしく初歩的なエントリを書きました。はてな株に興味がない方は無視してください。

※当ブログは、平時は書籍紹介をしています。株ブログではありません。

「マザーズって何?」

サッカーにたとえて言うなら、マザーズはJ3です。J1やJ2は、東証一部、東証二部と考えるといいでしょう。ちなみに、この説明は非常に乱暴なものです。発展させると、バルサがアメリカに存在することになりかねません。

さて、J3といえどプロリーグですから、アマチュア時代のように呑気にしていられません。やたら勝ち点にこだわるサポーターが増えます。マーケットの場合、それは株主で、「もっと金を稼げ! 不採算部門を切れ! 人件費と開発コストを下げろ!」等の要求をしてきます。株主が十人いたら、十人中十人以上(信用取引をする人もいるので)、そういったことを叫びます。まるで稼ぎの悪い旦那を罵る婦人のようです(株主の家庭環境が思いやられます)。

そんな殺伐とした中、はてな株を純朴な気持ち(「はてなが好き」とか「応援したい」とか)から持とうとする人は、極めて貴重です。ただし、その分だけカモられやすく、要は高値掴みしてイヤな思いをすることになりがちです。

そんな風にならないための、ちょっとしたノウハウを紹介しようかと思います。もちろん、マーケットに絶対はありませんから、高値掴みを確実に避けられる、とするものではありません。けれども、知っているだけで、ずいぶんダメージは減らせるでしょう(そう、恐ろしいことに、これはダメージ前提のエントリです)。


はてな株は売り切れたの?」

多くの人がIPOの抽選に外れましたが、株が売り切れたわけではありません。上場してから、連日ストップ高がつづいたら、売り切れているように見えるかもしれませんが、そんなこともありません。株価が落ち着けば、市場が開いている間に、いつでも購入できます。

ただし、この手の銘柄は上場後、株価が高騰しがちであるため、少なくとも1ヶ月ほどは手を出さない方が身のためです。焦って購入する必要はまったくありません。そもそも、はてなの上場は10年ほど遅いのですから、今さら1ヶ月や2ヶ月くらい待つのは、待つうちに入らないでしょう?


はてなに100万円ほど投資しようかな?」

はてな株を複数口購入しようと考えていて、予算も決めているのであれば、一度にまとめて買うのではなく、分割して購入することを推奨します。「同じ金額を投じるのだから、いついくらで購入しようが関係ない」と思われるでしょうが、株価によって保有できる口数は変動します。そして、なるべくなら安定株主により多くのはてな株を持っていてもらいたいもの。

うまくいくとは限りませんが、長い目線で株を見ると、値ごろ感も読めてきます。その意味でも、上場初年度に一度にまとめて買うことは、おすすめできません。分割購入では、その分だけ手数料がかかりますが、変動する株価の前ではタダみたいなものです。


「いつが買い時なの?」

IPO抽選にハズレてしまった場合、買い時はしばらく先になります。過去1年間にマザーズに上場したIT関連株34社の値動きを見たら、おおよそのタイミングが掴めるでしょう(エントリ末尾にリンクを張っておきます)。

なお、2月23日の終値の時点で、34社のうち28社において、その株価は初値を下回っています。さらに、その28社のうち21社は、ほぼ右肩下がりの絶望的なチャートを描いています(ほとんどの株主が含み損の状態です)。

参考までにALBERT社のチャートを載せておきますが、これは典型例であって、まったく少しも珍しいものではありません。脅かすつもりはありませんが、そういう世界だということを、しっかり頭に入れておいてください。

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ALBERT社について

ビッグデータを活用した販促分析が主力。流通向け中心。分析基盤サービス9割、コンサル1割。




「いつが買い時なのか?」という話でした。確実に安く手に入れるという意味では、初値を下回った時が買い時です。前述の34社のうち、33社において初値より安価に購入できるタイミングがありました(例外はテラスカイ社の1社のみです)。はてなの場合でも初値より安く購入できる時が、ほぼ確実に一年以内に訪れるでしょう。

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テラスカイ社について

クラウドシステムの導入支援・開発事業を展開。米国の大手・セールスフォース社と業務提携。



「初値よりもっと安値で買いたい」

先にも書きましたが、34社のうち21社が、見てるだけで死にたくなるような、そんな右肩下がりチャートを描いています。そのため、初値を大幅に下回る価格で買えるチャンスも、可能性としては高いでしょう。ただし、底値を見極めるのは、現実的に不可能です。目安として参考になるのは、出来高くらいでしょうが、それもあくまで気休めにすぎません。

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このアイリッジ社のチャートの下部に、Volumeとあるのが出来高(約定した件数)の推移になります。相対的に出来高が細っている時が、わりあい安価に株を購入できるチャンスとなります。しかし、どこが底値かは読みようがありませんし、このようにボックス圏内を推移しているような銘柄は、珍しい部類に入ります。

アイリッジ社について

集客、販促でネット・実店舗連携の「OtoO」施策支援。スマホ位置情報連携サービスを展開。




はてなのチャートで現実的にありそうなのは、ピクスタ社のそれが近いのではないかと思います(知名度や人気的に)。以下のチャートを見れば分かるでしょうが、「どこが買い時」なんて読めるものではないでしょう。諦めてください。

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ピクスタ社について

インターネット上で写真、イラストなどデジタル素材の仕入れ・販売を展開。アジアに拠点持つ。



「それなら空売りすればいいじゃない」

残念でした。マザーズに上場している株式のほとんどは空売りできません。はてなも(現時点では)同様です。空売りできないことが、上場時のいたずらな高値を招いている一因でもあり、悪役にされがちな空売りにも、それなりの意義があるのでした。もっとも、空売りできたとしても、上場直後の株に仕掛けることは、よほどの余力がない限り、やめた方が賢明でしょう。命が殺されます。



「なぜこんなアホみたいなエントリを?」

安定株主をより多く確保することで、はてなが将来的な敵対的買収に巻き込まれにくい方がよいと思うんです。だって、イヤではありませんか? たとえば、課金ゲーで儲かってるだけの会社や、グレーな広告収入で稼いでいる会社、あるいはネット音痴の異業種に買収されたりしたら。


マザーズに上場したIT関連34社(上場順。2015~)

[ 6037 ] ファーストロジック
[ 3906 ] ALBERT
[ 3907 ] シリコンスタジオ
[ 3908 ] コラボス
[ 3909 ] ショーケース・ティービー
[ 6038 ] イード
[ 3911 ] Aiming
[ 3912 ] モバイルファクトリー
[ 3913 ] sMedio
[ 6045 ] レントラックス
[ 3914 ] ジグソー
[ 6046 ] リンクバル
[ 6047 ] Gunosy
[ 3915 ] テラスカイ
[ 3135 ] マーケットエンタープライズ
[ 3138 ] 富士山マガジンサービス
[ 3917 ] アイリッジ
[ 6049 ] イトクロ
[ 3918 ] PCIホールディングス
[ 6172 ] タップス
[ 3416 ] ピクスタ
[ 3920 ] アイビーシー
[ 6177 ] AppBank
[ 6182 ] ロゼッタ
[ 3921 ] ネオジャパン
[ 6184 ] 鎌倉新書
[ 3923 ] ラクス
[ 3925 ] ダブルスタンダード
[ 3926 ] オープンドア
[ 3927 ] アークン
[ 3928 ] マイネット
[ 9416 ] ビジョン
[ 6185 ] ソネット・メディア・ネットワークス
[ 3929 ] ソーシャルワイヤー

※本エントリ内における会社説明のテキスト、およびチャートは、Yahoo!ファイナンスから引用したものです。