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BOOK HUNTING

ノンフィクション系の新刊、近刊を平日5冊、週30冊ペースで紹介。児童書から医学書まで。

『グローバル・ベーシック・インカム入門』クラウディア・ハーマンほか

『グローバル・ベーシック・インカム入門 - 世界を変える「ひとりだち」と「ささえあい」の仕組み』クラウディア・ハーマン/ディルク・ハーマン/ヘルベルト・ヤウフほか

ベーシック・インカムと言えば、そこそこの先進国が、実験的に行っている政策だと思っていた。しかしこの本は、アフリカはナミビアからのレポートだ。ナミビア!?

ちょっと調べてみた。どうやらナミビアの中でも貧しい村を選び、そこでベーシック・インカムを試したらしい。非常に言葉は悪いが、これは一種の動物実験だな。俺の勘違いかもしれないが、ナミビアに対する差別の目線が、色濃く感じた。もちろん善意でやったものだろうが、上から目線で救ってやってる気配があり、同時に「人間はどこまでの貧困なら耐えられるのか?」という調査をしているようにも思えた。

ちょうど、アメリカやオーストラリアの先住民たちに給付金を与え、彼らを懐柔しつつ、スポイルした、あのクソ汚い方法と似たような印象だ。そうか、ベーシック・インカムには、こういう使い道もあったか。つまり例えば、極限まで格差を拡大し、多くの人間を貧困層に落としつつ、それでいて社会に最低限の秩序をもたらす装置として。

俺が何を書いているのか分からない? そうだな、「ベーシック・インカムを実施することで、この貧しい村からセックスワーカーが減り、アルコール中毒患者が減少し、就労児童が消え、恐喝も空き巣もほぼなくなりました!」といった報告は、たしかに一見したところ素晴らしい。でもこの報告は、悪意を持った人間からしてみれば、非常に使えるわけだ。「このレベルまで貧困を蔓延させると社会不安が招かれるが、ベーシックインカムを使って、それより少しマシな次元に抑えておけば、それなりに社会の安定を保てるので、より効率よく生かさず殺さずの搾取が可能だな」って。

ベーシック・インカムは、人々を怠惰にし、経済を停滞させるという懸念は本当なのか──。

ナミビアで行われた世界初のベーシック・インカム給付試験報告書と現地のレポートから、ベーシック・インカムの可能性を探り、議論を深めるための必読書。

グローバル・ベーシック・インカム入門――世界を変える「ひとりだち」と「ささえあい」の仕組み

グローバル・ベーシック・インカム入門――世界を変える「ひとりだち」と「ささえあい」の仕組み

  • 作者: クラウディア・ハーマン,ディルク・ハーマン,ヘルベルト・ヤウフ,ヒルマ・シンドンドラ=モテ,ニコリ・ナットラス,イングリッド・ヴァン・ニーケルク,マイケル・サムソン,岡野内正
  • 出版社/メーカー: 明石書店
  • 発売日: 2016/01/08
  • メディア: 単行本
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