BOOK HUNTING

ノンフィクション系の新刊、近刊を平日5冊、週30冊ペースで紹介。児童書から医学書まで。

『経済学の本質と意義』ライオネル・ロビンズ

『経済学の本質と意義』ライオネル・ロビンズ

すっかりケインズの陰に隠れて、歴史上に名前だけが残ってるようなライオネル・ロビンズだが、奴のこの『経済学の本質と意義』(1932年)がなければ、その後に出されたケインズの『雇用・利子および貨幣の一般理論』(1936年)は、今ほどの強度を持ち合わせていなかっただろう。なぜって同時代にイカした奴がいなければ、「そいつを打ち倒そうとし、つい勢い余って古典的名著を書き上げてしまう」なんて現象は起きないからだ。

さて、本書はライオネル・ロビンズの代表作にして、歴史的一冊『経済学の本質と意義』の新訳だ。とりあえずロビンズによる、あの有名な経済学の定義が、どう生まれ変わっているかに注目だな。今までの訳は、あまりにもカタすぎた。

だって、このシンプルな英文「Economics is the science which studies human behaviour as a relationship between ends and scarce means which have alternative uses」が、「経済学とは、代替的用途をもつ稀少な諸手段と諸目的との間の関係として、人間行動を研究する学問である」って風に翻訳されてんだもん。こんなんじゃ読む気が起きない。むしろ原文の方が読みやすいじゃねーか。

現代経済学を創った古典的著作を新訳で読む。

目的・手段にかかわる人間行動という機能の視点から、経済学の本質を提示する。

経済学の本質と意義 (近代社会思想コレクション)

経済学の本質と意義 (近代社会思想コレクション)