『簡単！楽しい！おうちでできる音楽＆リズムあそび』鈴木豊乃

著者の音楽への果てしない愛を感じる。相手が子供だからといって、一切の手抜きを感じない目次構成。むしろ本気も本気。「歩くことはリズムを感じる第一歩！」、「怒鳴りたいときはうたって！毎日がオペラ！」、「音や声を一切出さずにできるサイレントリズムあそび」などなど。

オーソドックスな音楽教育からは離れすぎていて、「何これ？」と思ってしまう奴もいるかもしれないが、いやいやいや、これこそが王道的な音楽教育だろ。音を全身で楽しみ、生活自体を音楽で満たそうとする──、これ以上すぐれた音楽教育はない。

たしかに一見すると、トチ狂ったような目次だが（バッファオーバーフローしてアマゾンの「出版社からのコメント」まで目次に侵略されている）、子供の魂に音楽をぶつけようとするなら、こういった体当たり的なアプローチになってしまうし、とことんまで考え尽くさないと、ここに紹介されているようなネタは思いつけない。リスペクト。

ちなみに、今や世界的ジャズピアニストとして知られる上原ひろみを、小学生の頃に指導していたのは、この本の著者である鈴木豊乃その人である。やっぱ指導者としても素晴らしいんだな。