『美学』アレクサンダー・ゴットリープ・バウムガルテン
『美学』アレクサンダー・ゴットリープ・バウムガルテン
バウムガルテンの大書にして古典の『美学』全訳が初の文庫化。美学の創始者とされ、本書がなければ、カントによる『判断力批判』にせよ、ヘーゲルの『美学講義』にせよ、この世に出てこなかったとされる。マジかよ。
さて、日本で美学というと、粋だとか、ワビサビだとか、あわれだとか、その辺があてはまるだろう。しかし、そういったものを言葉で説明しようとするのは、無粋とされる。結果、あまり書物などで体系化されず、ナントカ道(書道とか華道とか)として出現するわけだが、一方ヨーロッパだと、とことん言葉を尽くして説明しようとする。この『美学』なんか、実に900ページ近い厚さだ。日本の美意識に照らし合わせると、ずいぶんダサいものだが、そういう美学もあるわけだな。つまり、徹底して語り尽くすことがカッコいいとされる美意識。
ちなみにヘーゲルの『美学講義』は、1500ページくらいあり、正しくバウムガルテンの伝統を受け継いでいる。もしキーボードのある現代にヘーゲルがいたら、軽く5000ページ規模の本を書いてそうだ。
人間にとって「美」とは何か?
西洋文化の厚みと深みを知る上で決して避けては通れない大古典作品の全訳、初の文庫版。
- 作者: アレクサンダー.ゴットリープ・バウムガルテン,松尾大
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2016/01/09
- メディア: 文庫
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