『日本語を作った男 - 上田万年とその時代』山口謠司
『日本語を作った男 - 上田万年とその時代』山口謠司
知ってるようで知らないことは、案外多い。たとえば、「標準語のクリエイターは誰?」と質問されて、すぐに答えられる奴は少ないだろう。俺も知らなかった。そもそも標準語は、誰かがリーダーシップを発揮して作られたものではなく、新聞社や放送局から何となく生まれた産物だと思ってた。答えは上田萬年。初耳。弟子には『広辞苑』の編者として有名な新村出がいる。どうも本物クサい。
本書は、上田とその時代を描くことで、現代につづく日本語がどのようにして出来ていったのか追う。著者の山口謠司は、これまでにも『「アイウエオ」と「いろは」の発明』、『ん - 日本語最後の謎に挑む』、『日本語にとってカタカナとは何か』など多数の日本語本を出している。この本の書き手として頼もしい。装丁は平野甲賀。ひさしぶりに見た気がする。
明治維新を迎え「江戸」が「東京」となった後も、それを「とうきやう」とか「とうけい」と様々に呼ぶ人がいた。明治にはまだ「日本語」はなかったのである。
標準語の制定や仮名遣いの統一などを通じて「近代日本語」の成立にきわめて大きな役割を果たした国語学者・上田万年とその時代を描く。
- 作者: 山口謠司
- 出版社/メーカー: 集英社インターナショナル
- 発売日: 2016/02/26
- メディア: 単行本
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