BOOK HUNTING

ノンフィクション系の新刊、近刊を平日5冊、週30冊ペースで紹介。児童書から医学書まで。

『ムーンショット! - Moonshot!』ジョン・スカリー

『ムーンショット! - Moonshot!』ジョン・スカリー

ジョン・スカリーによるイノベーション本。モバイル、クラウド、センサー、ビッグデータに注目すべきという。なるほど、特に当たり障りのないことを言ってる。さすがだ。今なら他にも人工知能フィンテック、IoT、遺伝子工学、ナノテク、インダストリー4.0あたりを含めてもよさそうな気がする。

別にケチをつけるつもりはないが、ジョンスカの指摘する四つのカテゴリだけでは足りないと直感する。確かにスカリーは、間近で大きなイノベーションを目撃した人物ではある。と同時に、スティーブ・ジョブズを追い出した男でもある(今では考えられないことだが、アップルをAT&Tに売却しようとしたこともある)。俺はそこを非常に高く評価したい。ジョブズの追放は、普通はできないことだ。しかし当時の常識的にはジョブズの除外は適切で、つまり偉大な凡人としての才能がスカリーには見受けられる。

スカリーの指摘するモバイル、クラウド、センサー、ビッグデータは重要であるに違いない。俺もそこには同意する。だが同時にこうも思うわけだ。「もしジョブズが生きていたら、その四つに何を足すだろうか?」と。スカリーと同じ地平にいたのでは、おそらく平凡な着想に終わる。本気でムーンショットを狙いたいなら、ジョン・スカリーには想像もできないような何かをプラスする必要があるはずだ。本書を片手に、その何かを探してみると、より刺激的な読書を楽しめるだろう。

ムーンショットとは、シリコンバレーの用語で「それに続くすべてをリセットしてしまう、ごく少数の大きなイノベーション」のことをいう。

ジョン・スカリーが解き明かす、10億ドル規模のビジネスの立ち上げ方と戦略。

ムーンショット! -Moonshot!

ムーンショット! -Moonshot!