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BOOK HUNTING

ノンフィクション系の新刊、近刊を平日5冊、週30冊ペースで紹介。児童書から医学書まで。

『黄砂にいどむ - 緑の高原をめざして』高橋秀雄

『黄砂にいどむ - 緑の高原をめざして』高橋秀雄

砂漠地帯の緑化はロマンだ。マスコミは時おり、「この地帯の緑化が成功しました。ご覧ください!」などとニュースで報道するが、実際は数年も手入れを放置すれば、もとの砂漠に戻ってしまう。そうそう簡単に砂漠の緑化は成功しない。いや、失敗を運命づけられている、とした方がいいかもしれない。しかし、それでこそ挑戦のしがいがあるというもの。

本作でのチャレンジャーの名は、一前宣正(宇都宮大名誉教授)。一般にはあまり知られていないが、生粋の植物バカだ。小学生の頃に1500種の植物を頭に叩き込み、やがて国内に飽き足らず、成人してからは『世界の雑草』シリーズ(めちゃくちゃ高い! 最新刊は5万オーバー)を刊行している。その一前にして、砂漠と格闘し、かれこれ30年ほどになる。まだ火星のテラフォーミングの方が、現実味がありそうだ。

ここまで来たら、もうほとんど意地の境地だろう。2万種類にも及ぶ雑草の中から、選びに選んだ品種を投じては、「なぜだ……。どうしてだ!」と頭を抱える。そうしてまた、ありとあらゆる知力を振り絞り、砂漠地帯に挑む。世界の雑草を知るスペシャリストが選んだ雑草でも、容易には太刀打ちできない時点で、このプロジェクトの難しさが分かるだろう。だがやはり、それぞライフワークにふさわしいプロジェクトと言える。畜生、カッコいいじゃねーか!

中国北西部に広がる黄土高原は砂漠化がすすみ、日本にまで飛来する黄砂を発生させていた。土地の保水力を高めるため、プロジェクトの粘り強い試みが始まる。