『技術流出の構図 - エンジニアたちは世界へとどう動いたか』藤原綾乃
『技術流出の構図 - エンジニアたちは世界へとどう動いたか』藤原綾乃
海外への頭脳流出は、著者も指摘しているようにセンセーショナルに扱われがちで、その一方では落ち着いた議論や検証が乏しい。本書では、日本企業から東アジア企業へ移った技術者の動きを、企業単位の解析で明らかにするとともに、膨大な特許データを分析し、技術面に貢献する人材とは何か、そして国際的な競争における企業戦略はどうあるべきかを読み解こうとする。
地味に大変な作業で、それをなしとげた著者の労を、まずはねぎらいたい。この分野を特許データから定量化しようとした試みは、俺の知る限り藤原が初めてで、しかもスジがいい。今後の仕事にも期待できる。というか、本作の成果を活かして、もう一、二歩ほど踏み込めば、まだ誰も書いたことがなく、極めてスリリングでありながら、データ上の裏付けもある、とてつもない傑作を出せると思う。ガチで。
本書は、日本企業から東アジア企業へ移った技術者の動きを、ビッグデータを用いた企業単位の解析で明らかにしながら、技術面のキャッチアップを行うのに適切な人材とは、また、外部人材はどのような貢献をしているのか、受け入れ先企業の組織のあり方も含め、実証的に検討した。
- 作者: 藤原綾乃
- 出版社/メーカー: 白桃書房
- 発売日: 2016/02/18
- メディア: 単行本
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