BOOK HUNTING

ノンフィクション系の新刊、近刊を平日5冊、週30冊ペースで紹介。児童書から医学書まで。

『生き物と向き合う仕事』田向健一

『生き物と向き合う仕事』田向健一

一般に獣医というと、「生き物にやさしいまなざしで接する、ハートウォーミングな職業人」といった印象を持ちがちだ。だが、本作ではその印象をのっけから破壊する。「動物を救うことが獣医学の真理ではない。獣医学は、ただ人の健康と食の安全を守るためにある」ってんだから。

こう書くと、「何て冷徹でドライな奴!」と思ってしまうだろう。しかし、むしろこの価値観からスタートして、それでいて獣医をやってる強さと温かさに、逆に驚かされないだろうか。達観しつつも情がある。並のメンタルでは、なしえないことだ。名医だと思う。

獣医学は元々、人類の健康と食を守るための学問だから、動物を救うことが真理ではない。

冷静な頭と温かい心で日々、生き物たちと向き合う獣医師が伝える命とは、病気とは、生きるとは?

生き物と向き合う仕事 (ちくまプリマー新書)

生き物と向き合う仕事 (ちくまプリマー新書)