『打撃の神髄 - 榎本喜八伝』松井浩
『打撃の神髄 - 榎本喜八伝』松井浩
偉大な打者にして、ミステリアスな存在、それが榎本喜八だ。安打製造機と呼ばれた最初の選手であり、実に数多くの伝説的なエピソードを持つ。その辺りをざっと知りたいなら、Wikipediaやニコニコ大百科を見るといい。
求道者的な姿勢が強い上、独自の打撃理論を説き、奇行と思われる言動もあったためか、選手としての偉大さに反比例して、世間との折り合いはあまりよくなかったようだ。たしかに、いろいろとフツーじゃない。スポーツの世界で言うところの「ゾーン(榎本によれば「神の域」)」に、1963年の榎本は、およそ1ヶ月近くも入っていたというんだから。
これはその榎本に真摯に迫ろうとした珍しい一冊だ。著者の松井は、インタビュー後に6年(!)もかけて榎本の言葉を正確に理解しようとつとめ、ようやく出版に至ったという。これもなかなかに伝説的なエピソードだ。
「神の域に行かせていただきました」
イチローよりも速く1000本安打を達成し、2016年に殿堂入りした伝説の打者、榎本喜八。引退後30年も保ち続けた沈黙を破り、語った真実とは何か。
- 作者: 松井浩
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2016/02/19
- メディア: 文庫
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