BOOK HUNTING

ノンフィクション系の新刊、近刊を平日5冊、週30冊ペースで紹介。児童書から医学書まで。

『打撃の神髄 - 榎本喜八伝』松井浩

『打撃の神髄 - 榎本喜八伝』松井浩

偉大な打者にして、ミステリアスな存在、それが榎本喜八だ。安打製造機と呼ばれた最初の選手であり、実に数多くの伝説的なエピソードを持つ。その辺りをざっと知りたいなら、Wikipediaニコニコ大百科を見るといい。

求道者的な姿勢が強い上、独自の打撃理論を説き、奇行と思われる言動もあったためか、選手としての偉大さに反比例して、世間との折り合いはあまりよくなかったようだ。たしかに、いろいろとフツーじゃない。スポーツの世界で言うところの「ゾーン(榎本によれば「神の域」)」に、1963年の榎本は、およそ1ヶ月近くも入っていたというんだから。

これはその榎本に真摯に迫ろうとした珍しい一冊だ。著者の松井は、インタビュー後に6年(!)もかけて榎本の言葉を正確に理解しようとつとめ、ようやく出版に至ったという。これもなかなかに伝説的なエピソードだ。

「神の域に行かせていただきました」

イチローよりも速く1000本安打を達成し、2016年に殿堂入りした伝説の打者、榎本喜八。引退後30年も保ち続けた沈黙を破り、語った真実とは何か。

打撃の神髄 榎本喜八伝 (講談社+α文庫)

打撃の神髄 榎本喜八伝 (講談社+α文庫)