『ピアノ、その左手の響き - 歴史をつなぐピアニストの挑戦』智内威雄
『ピアノ、その左手の響き - 歴史をつなぐピアニストの挑戦』智内威雄
局所性ジストニアの発症により、後天的に右手の自由を失った智内による、左手のピアノ音楽案内。ETV特集「左手のピアニスト」で智内のことを知った人もいると思うが、多くの人は左手のピアノ音楽なるものが存在し、独自の発展を遂げていたことなど知りもしないのではないか。俺も知らなかった。
この本では、ハノーファー音楽大学に入学後、難病に右手を襲われた智内が、左手の音楽と出会い、音楽史に残された名曲を伝える。実際どんな曲かは、左手のアーカイブ内の「左手演奏の為の名曲」から視聴できる。世界各地で左手の音楽が生み出されてきたのを見ると、他にもこのように豊かな「左手の何か」が眠っているんだろうと予感する。もっと色んな人が発掘すれば面白い。
病によって、戦争によって、右手の自由を失ったピアニストたちが、それでも表現することをあきらめずにひとすじの細い道をつないできた左手のピアノ音楽。
三百年の歴史を持つ、知られざる豊かな響き、左手のピアノ音楽がよみがえる。
- 作者: 智内威雄
- 出版社/メーカー: 太郎次郎社エディタス
- 発売日: 2016/02/19
- メディア: 単行本
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