『世界最強の女帝 - メルケルの謎』佐藤伸行
『世界最強の女帝 - メルケルの謎』佐藤伸行
ドイツ初の女性首相(3期目)アンゲラ・メルケルに迫ろうとした本。まったく知らなかったが、もともとは理論物理学の研究者だったのか。しかも夫はフンボルト大学ベルリンで量子化学の教授。そこらのリケジョとは格が違う、本気の理系女子じゃないか。どうしてそんな彼女が政界に進んだのか、これはちょっとした量子力学だな。
そして著者の佐藤も、どうやらメルケルの謎は完全には解けなかったようだ。正直で好印象。それにメルケルのような人物は、ヘタに明確な像が描かれるより、丁寧に輪郭の断片を拾っていった方がおもしろい。それはモザイク画のようなものに仕上がるだろうが、しかしそれでこそパッチワークのように繋がった、ヨーロッパ盟主のあるべき姿ではないだろうか。
独首相メルケルは一見冴えない理系女子。ところが、いまや「EU大統領」のような存在に。東独出身の野暮ったい物理学者は、いかにして権力を手にしたのか。
- 作者: 佐藤伸行
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2016/02/19
- メディア: 単行本
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