『阪神タイガース「黒歴史」』平井隆司
『阪神タイガース「黒歴史」』平井隆司
国内外でいかなる出来事があろうとも、トップに阪神タイガース関係の記事を持ってくる、信念のブレない新聞デイリースポーツ。そのデイリーで虎番をしていた著者が阪神タイガースの黒歴史をまとめたもの、それがこの一冊だ。
タイガースなら黒歴史に困ることはないだろうが(むしろ豊富すぎる?)、どうしてだか一貫して人気のある球団だ。おそらくそれは、負けても華があるからで、それが判官贔屓の琴線に触れる。毎年夏に「死のロード」が始まると、阪神ファンは困った顔をしつつ、どこか嬉しそうだ。そして負けが込んでくると、おかしなことに一種のカタルシスでも味わっているような、恍惚とした表情すら浮かべてくる。野球ファンならずとも理解しがたい心理だ。
だがそこに阪神ファンであることの醍醐味があるはずで、そんな虎党たちにとって、黒歴史は実は消し去りたいものではなく、妖しく輝くもうひとつの栄光であるように思う。
「伝説の虎番」と呼ばれ、デイリースポーツ元記者である著者が、阪神タイガースの数々のお家騒動から敗北、思わず涙を誘う逸話まで、その目で見た「黒歴史」の裏まで全部書く。
- 作者: 平井隆司
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2016/02/19
- メディア: 新書
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