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『ウェブ小説の衝撃 - ネット発ヒットコンテンツのしくみ』飯田一史

『ウェブ小説の衝撃 - ネット発ヒットコンテンツのしくみ』飯田一史

著者は「衝撃 ネット小説のいま」を連載している飯田一史。ウェブ小説界隈にはほとんど縁がないが、今のところウェブで書かれなければならない必然性を伴った小説に接した記憶はない。だからと言って、衝撃を受けなかったかというと、ボカロ小説にはその存在にショックを受けた。アニメ化された『ニンジャスレイヤー』にはブンブンの無駄遣いを感じた。エンタメ方面では、そこそこビジネス的におもしろい作品が出てるのは分かる。

ただ、おそらく本当に面白いウェブ小説は、読者との交流や人気が可視化されるサイトには登場せず、無編集でザラザラしたエグくてドロドロした奴だと思う(決して大ヒットはしないだろう)。ネットの片隅で細々とやってる情念に満ちみちた個人の殴り書きみたいな。

そういった方面とは真逆で、今後エンタメ路線で爆発しそうなのは、ノベルゲーやLINEのようなフォーマットを使ったストリエだろう。今ならではの環境を十分に活用しつつ、書き手と読み手のニーズをうまく拾ってると思う。ここからヒット作が量産されるのは、時間の問題のはずだ。

メガヒットからスマッシュヒットまでを連発するウェブ小説。投稿サイトから続々とヒットコンテンツが生まれるしくみを出版・経営の双方に通じた著者が、関係者への取材と詳細なデータであざやかに解説。

ウェブ小説の衝撃: ネット発ヒットコンテンツのしくみ (単行本)

ウェブ小説の衝撃: ネット発ヒットコンテンツのしくみ (単行本)