『魔の地ニューギニアで戦えり』植松仁作
『魔の地ニューギニアで戦えり』植松仁作
ニューギニアといえば南半球である。今では信じられないことに、旧日本軍はそんなところまで出向いていた。ただ単純に驚く。それもほぼ行き当たりばったりの計画で、現地で何とかするタイプのブラックな任務。大局観のなさは、今も昔も変わらない。
21世紀にこの戦記を読めば、「ひどくブラックな方法だな……」と絶句するように、おそらく現在の経済戦争で敗走している日本の状況も、あと50年もすれば、同様な感想を読者に抱かせると思う。「戦線を広げ過ぎ」「計画性なさすぎ」「世界を知らなすぎ」等など。例えば、そうだな『魔の地シャープで戦えり』とか、『東芝戦記』とか、そういった旧日本企業のノンフィクションが2070年くらいに出たときに(その頃には外資に売却されてると思う)、「ひっどいな、これ」と間違いなく読者は呟くはず。
連合軍の熾烈な総反攻により本土からの補給路を断たれ、孤立を余儀なくされたニューギニアの日本軍。敵の執拗な攻撃や飢え、荒れ狂う魔のヤカチ河と戦い、悪疫の地を彷徨しなければならなかった兵士たちの心情を吐露する痛恨の手記。
- 作者: 植松仁作
- 出版社/メーカー: 潮書房光人社
- 発売日: 2016/02/19
- メディア: 文庫
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