BOOK HUNTING

ノンフィクション系の新刊、近刊を平日5冊、週30冊ペースで紹介。児童書から医学書まで。

アート/デザイン

『楊 淑美・流ヴォイストレーニングBOOK 目覚めよ! あなたも知らない自分の声』楊淑美

『楊 淑美・流ヴォイストレーニングBOOK 目覚めよ! あなたも知らない自分の声』楊淑美 どうしよう、元タカラジェンヌの本を紹介するのは、妙に緊張する。しかしここは気にせず、ふつうのボイトレ本として紹介しよう。さて一般に、個人の声はそうそう変わら…

『自然の鉛筆』ウィリアム・ヘンリー・フォックス・トルボット

『自然の鉛筆』ウィリアム・ヘンリー・フォックス・トルボット 世界最古とされる写真集を出版したウィリアム・ヘンリー・フォックス・タルボット。これはその写真集『自然の鉛筆(Pencil of Nature)』の完全訳。写真史のお勉強をする感覚で、この本をめくっ…

『インフォグラフィックスの潮流 - 情報と図解の近代史』永原康史

『インフォグラフィックスの潮流 - 情報と図解の近代史』永原康史 インフォグラフィックスは見ていて目に楽しい。美しいインフォグラフィックスは、あたかも高度に洗練された抽象画のよう。鮮やかな色彩と、無駄のないシャープな輪郭、そして明確な伝達意志…

『バイエルの謎 - 日本文化になった教則本』安田寛

『バイエルの謎 - 日本文化になった教則本』安田寛 「とりあえずビール」と同じように、ピアノを始めるとなると、「まずはバイエル」というスタンダードが日本には定着している。その一方で、なぜビールなのか、なぜバイエルなのか、そもそもビールとは何か…

『うるうのもり』小林賢太郎

『うるうのもり』小林賢太郎 ラーメンズの小林賢太郎といえば、ほころびを見つけるのがウマい。あるいは、ほころばせるのがウマい。すなわち、理詰めで話を作っていって、それが破綻するところを上手に見せてくれる。稀有な才能。そのセンスは絵本でも健在だ…

『JUN AOKI COMPLETEWORKS 3 | 2005-2014』青木淳

『JUN AOKI COMPLETEWORKS 3 | 2005-2014』青木淳/鈴木心/阿野太一 建築家 青木淳の作品まとめ10年分。『原っぱと遊園地』シリーズが猛烈におもしろかったので、それからずっと青木の新刊を待ってたが、まるで音沙汰なく、ようやく出たと思ったら作品集じ…

『組み立て×分解! ゲームデザイン - ゲームが変わる「ルール」のパワー』渡辺訓章

『組み立て×分解! ゲームデザイン - ゲームが変わる「ルール」のパワー』渡辺訓章 ケイティ・サレンとエリック・ジマーマンによる名著『ルールズ・オブ・プレイ』のことを思い出した。あれは解剖学のようにゲームを説明し尽くそうとした、クッソ真面目な(…

『フローレンス・フォスター・ジェンキンス - 騒音の歌姫』ダリル・W・ブロック

『フローレンス・フォスター・ジェンキンス - 騒音の歌姫』ダリル・W・ブロック 公開中の映画『偉大なるマルグリット』の主人公であるフォスター・ジェンキンスの評伝。さんざん音痴だと言われていて、本当にそうなのか確認したところ、なるほど、完膚なきま…

『小松菜奈1st写真集 - Trabzon』小松菜奈/後藤啓太

『小松菜奈1st写真集「Trabzon」』小松菜奈/後藤啓太 今月の写真集でもっとも目を惹いたのが、この一冊だった。しかし、レビューを読む限りさんざんな評価で、どうやら表紙が奇跡の一枚の模様。何てこった。めちゃくちゃ雰囲気あるのに、他の写真はイマイチ…

『マティスの切り絵と挿絵の世界』海野弘

『マティスの切り絵と挿絵の世界』海野弘 晩年のマティスがハマった切り絵をまとめた一冊。個人的には油絵のマティスよりか、切り絵のマティスのが全然好み。世間的にはどうだか知らないが、こっちの方がよりマティスらしさが出てると思う。色彩と輪郭がいっ…

『ピアノ、その左手の響き - 歴史をつなぐピアニストの挑戦』智内威雄

『ピアノ、その左手の響き - 歴史をつなぐピアニストの挑戦』智内威雄 局所性ジストニアの発症により、後天的に右手の自由を失った智内による、左手のピアノ音楽案内。ETV特集「左手のピアニスト」で智内のことを知った人もいると思うが、多くの人は左手のピ…

『脳内異界美術誌 - 幻想と真相のはざま』荒俣宏

『脳内異界美術誌 - 幻想と真相のはざま』荒俣宏 書くべき人が書いた本。荒俣センセイによる、幻想美術、アウトサイダー・アートに関する書籍。しっくり来る。だいたい本人自身が、異界から来たようなオーラ出してる。それでいてオカルト方面とは、きっちり…

『トランペットを吹き鳴らせ! セルビア&マケドニア ジプシー音楽修行記』吉開裕子

『トランペットを吹き鳴らせ! セルビア&マケドニア ジプシー音楽修行記』吉開裕子 痛快なタイトルと同じように、生き方も痛快な吉開裕子のトランペット放浪記。いいなー、この体当たりな感じ! どれだけ著者がジプシー音楽に魅了されてるかが分かる。好き…

『数寄語り』潮田洋一郎

『数寄語り』潮田洋一郎 狭くて、深くて、滅法カネのかかる世界、数寄。興味本位で覗いてみるなら、この本なんかお手ごろだ。LIXILグループ会長である潮田洋一郎の、一般人には絶対に手の届かないコレクションを、サクッとチェックできる。創業者の潮田健次…

『へんてこな春画』石上阿希

『へんてこな春画』石上阿希 2013年から3か月ほど大英博物館で開かれた春画展「Shunga - sex and pleasure in Japanese art」は、有料企画だったにもかかわらず、9万人を動員するヒットを記録した。来場者の6割弱が女性だったのも話題になったんで、覚えてる…

『美学』アレクサンダー・ゴットリープ・バウムガルテン

『美学』アレクサンダー・ゴットリープ・バウムガルテン バウムガルテンの大書にして古典の『美学』全訳が初の文庫化。美学の創始者とされ、本書がなければ、カントによる『判断力批判』にせよ、ヘーゲルの『美学講義』にせよ、この世に出てこなかったとされ…

『簡単! 楽しい! おうちでできる音楽&リズムあそび』鈴木豊乃

『簡単! 楽しい! おうちでできる音楽&リズムあそび』鈴木豊乃 著者の音楽への果てしない愛を感じる。相手が子供だからといって、一切の手抜きを感じない目次構成。むしろ本気も本気。「歩くことはリズムを感じる第一歩!」、「怒鳴りたいときはうたって!…

『ジャワの芸能ワヤン - その物語世界』福岡まどか

『ジャワの芸能ワヤン - その物語世界』福岡まどか インドネシアのジャワ島といえば、ジャワカレーとジャワ原人とガムランくらいしか思いつかないが、人形をつかった伝統的な影絵芝居ワヤン・クリ(Wayang Kulit)も盛んだという。ググってみたところ、「そ…

『透明迷宮』笠井叡/細江英公

『透明迷宮』笠井叡/細江英公 レジェンド細江英公による笠井叡の写真集。まだ細江が生きてて、しかも現役というのが驚き。三島由紀夫を撮った『薔薇刑』、土方巽を撮影した『鎌鼬』の、あのカメラマンだ。日本の写真史をひもとけば、必ずどこかで目にする、…

『古田織部 - 美の革命を起こした武家茶人』諏訪勝則

『古田織部 - 美の革命を起こした武家茶人』諏訪勝則 武将にして茶人である、古田織部の本。多くの人がそうであるように、俺も山田芳裕のマンガ『へうげもの』経由で古田織部のことを知った。名器は名器でも、茶道具の方の名器で興奮してしまう、あの変態だ…

『仏像再興 - 仏像修復をめぐる日々』牧野隆夫

『仏像再興 - 仏像修復をめぐる日々』牧野隆夫 学術的な価値、あるいは骨董的な価値といった、わりあい客観的な要素を持つ仏像は、その重要性を説明しやすい。いわく「有名な仏師が彫った」、「当時の革新的な技術が使われている」、「名のある個人だれそれ…

『解読ジェフリー・バワの建築 - スリランカのアニミズム・モダン』岩本弘光

『解読ジェフリー・バワの建築 - スリランカの「アニミズム・モダン」』岩本弘光 インフィニティ温泉は大人気だ。水面と水平線が一体化し、まるで無限(インフィニティ)に湯船が広っているかのような感覚を味わえる。この原型インフィニティ・エッジ・プー…

『グーグースースー』ジョヴァンナ・ゾーボリ/シモーナ・ムラッツァーニ

『グーグースースー(そうえん社世界のえほん)』ジョヴァンナ・ゾーボリ/シモーナ・ムラッツァーニ イタリア・アンデルセン賞を受賞したジョヴァンナ・ゾーボリと、シモーナ・ムラッツァーニのコンビによる絵本。表紙のキツネが、あまりにも気持ちよさそう…

『美の考古学 - 古代人は何に魅せられてきたか』松木武彦

『美の考古学 - 古代人は何に魅せられてきたか』松木武彦 学校でまなぶ美術史といえば、バロック、ゴシック、ルネサンスといった、超ローカルでニッチな西洋美術史に集中しがちだ。たかだか数百年のとこだけ拾って、偏執狂のように些細なちがいをアレコレす…

『愛犬たちが見たリヒャルト・ワーグナー』ケルスティン・デッカー

『愛犬たちが見たリヒャルト・ワーグナー』ケルスティン・デッカー ふつうにワーグナーの評伝を書いてよさそうなのに、なぜかワンちゃん目線から語られる本書。まるで「ワーグナーがワーグナーたりえたのは、犬たちのおかげだった」と言わんばかりだ。著者の…

『僕はカンディンスキー』アナベル・ハワード

『僕はカンディンスキー』アナベル・ハワード パイインターナショナルから出てる「芸術家たちの素顔」シリーズの一冊。このシリーズは軽すぎず、重すぎず、なかなか良い。興味がないわけではないものの、例えば300ページ前後もあるような単著を読む気はしな…

『400のプロジェクトを同時に進める - 佐藤オオキのスピード仕事術』 佐藤オオキ

『400のプロジェクトを同時に進める - 佐藤オオキのスピード仕事術』 佐藤オオキ バルミューダやプラスマイナスゼロ、無印良品を絶賛する奴でも、佐藤オオキのnendoになると、いささか歯切れが悪い。評価しないわけではないが、決して絶賛することはない。そ…

『現代写真論 新版 コンテンポラリーアートとしての写真のゆくえ』 シャーロット・コットン

『現代写真論 新版 コンテンポラリーアートとしての写真のゆくえ』 シャーロット・コットン 晶文社のいい仕事。ハンパな写真論は世に溢れているが、読むならこの一冊だ。著者のシャーロット・コットン(※英Wikipedia)は、イギリス国立メディア博物館ではク…

『Moving Plants』 渡邊耕一

『Moving Plants』渡邊耕一 世の中には「なぜそれをライフワークに?」と理解しかねる趣味がある。これはその産物。シーボルトが日本から世界に広めた侵略植物イタドリ(Fallopia japonicaもしくはJapanese knotweed)の奇ッ怪な写真集だ。ちなみにイタドリ…

『玩具とデザイン - アトリエ ニキティキとトイメーカーの歴史』 上條桂子/アトリエ ニキティキ

『玩具とデザイン - アトリエ ニキティキとトイメーカーの歴史』上條桂子/アトリエ ニキティキ 木製の玩具は、「かわいらしいデザイン」だの、「木のぬくもり」だの、そういった方面から評価されがちだ。でも俺の好みはそうじゃなくて、シンプルな色と、シ…