『曝された生』アドリアナ・ペトリーナ
『曝された生』アドリアナ・ペトリーナ
チェルノブイリ本はたくさん出てるが、これは人類学的アプローチを仕掛けてるレアな一冊。著者はペンシルベニア大学で人類学を教えているアドリアナ・ペトリーナ。
2006年にニュー・ミレニアム賞(New Millenium Award)を受賞してるので、時期的にも内容的にも変なバイアスなしに読めるだろう。原著はプリンストン大学出版局から出てる。ちなみにペンシルベニアもプリンストンも、日本ではそれほど馴染みがないが、どちらも25名以上のノーベル賞受賞者を輩出してる超一流校。
しかし、チェルノブイリを人類学的に見るって、考えようによっては残酷だよな。その分だけリアルな状況を切り取れるが、何だろうね、この悲しさは。
緻密なフィールドワークに基づいて、放射線被害を受けた人々の直面する社会的現実を明らかにするのみならず、被害自体が、被災者個人、汚染地域、ウクライナ国家の、また国際的な科学研究、政治・経済的かけひきの契機となっている現状を鮮やかに捉えている。
- 作者: アドリアナペトリーナ,粥川準二,Adriana Petryna,森本麻衣子,若松文貴
- 出版社/メーカー: 人文書院
- 発売日: 2016/01/23
- メディア: 単行本
- この商品を含むブログを見る