BOOK HUNTING

ノンフィクション系の新刊、近刊を平日5冊、週30冊ペースで紹介。児童書から医学書まで。

『自分を開く技術』伊藤壇

『自分を開く技術』伊藤壇

サッカー選手を引退してからの中田英寿は、旅人として生きることにした。しかし伊藤壇は、その道を選ばなかった。旅人のようなサッカー選手になることを決意したのだ。まるで気ままなバックパッカーよろしく、モルディブブルネイ、マカオ、ブータンラオス等と、「プロのサッカーリーグなんてあったか?」と思われるところも含めて、サッカー選手として渡り歩いている。その数、現在までに18の国と地域におよぶ。文字通りのジャーニーマンであり、本物のサッカー小僧だ。

伊藤は代理人を付けず、一年ごとに滞在国と所属するチームを変更する。その方法も破天荒だ。まず現地に飛んだら、街中のストリートサッカーに乱入、その国のサッカー事情を学び、芋づる式にコネクションを作り、チーム関係者とコンタクトを取り、トライアウトに乗り込んで、プロ選手としての契約にこぎつける。まるで剣豪小説だ。腕におぼえのある浪人が、道場破りを繰り返し、用心棒(あるいは将軍家などの剣術師範)として登用される──。

さて本書は、そんな伊藤の書いた一冊だ。「自分を開く」というタイトルは自己啓発本みたいだが、ふつうの人はここまで自分を開けないだろう。伊藤メソッドは特殊すぎる。ただし内容がおもしろいのは間違いないだろう。ほとんど日本のルッツ・ファンネンシュティールだからな。

「一年一か国でプレー」をポリシーに、代理人をたてず自ら契約、プレーしてきたプロサッカー選手・伊藤壇。これまで18の国と地域で活躍してきた。

すべてのサッカー選手の可能性を開く書であるとともに、サッカーに興味のない人にとっても自分を売り込む技術を教えられる一冊。

自分を開く技術

自分を開く技術