BOOK HUNTING

ノンフィクション系の新刊、近刊を平日5冊、週30冊ペースで紹介。児童書から医学書まで。

『幕末に海を渡った養蚕書』竹田敏ほか

『幕末に海を渡った養蚕書』竹田敏ほか

上垣守国が1802年に書いた養蚕書『養蚕秘録』が、シーボルトによってオランダを経由し、フランスで翻訳され、後にイタリア語にも訳された経緯と時代背景を追った本。ちなみにフランスでは19世紀後半から養蚕業が衰退、イタリアでは1920年代にピークを、日本では明治以降に最盛期を迎えることになる。この辺、どうも当時の産業構造とリンクしてるような気がするな。

『養蚕秘録』は80年以上も出版され続けた、と言われるので、日本の養蚕業の土台を作ったのは間違いないだろう。上垣守國を「養蚕の父」とするのも妥当に思える。ただし、富岡製糸場(群馬)は兵庫に建てられず、そのこともあってか上垣守國の知名度はそれほどない。けっこう重要な仕事してるのになー。

江戸時代中期に生まれ、「日本の養蚕の父」と言われた上垣守國。

彼が著した養蚕技術書『養蚕秘録』が遠くフランスの地で『養蚕新説』として翻訳・刊行された経緯と謎を、その時代背景と共に日本及びフランスに追う。

幕末に海を渡った養蚕書

幕末に海を渡った養蚕書