BOOK HUNTING

ノンフィクション系の新刊、近刊を平日5冊、週30冊ペースで紹介。児童書から医学書まで。

『読まなくても碁に勝つ法』竹清勇

『読まなくても碁に勝つ法』竹清勇

一ヶ月半ほど前までは、金で買ったインチキだと言われていた、Alpha Goによる勝利(樊麾二段との対局)。だが、それから本当にわずかな期間で、世界トップ級のプロ(イ・セドル九段)を倒すまでの力を得てしまった。デミス・ハサビス(※英Wikipedia)、すごすぎだろ。ガチモンの天才。人工知能を学ぶために、実際に脳神経学を学んだという、謎キャリアの持ち主のクセに(あるいは、だからこそ?)、ほぼ一人で人類の進化を加速させてる。「囲碁人工知能がプロに勝つのは、まだずっと先」とされてたのに……。マジでケタ外れに次元が違う。

デミス・ハサビスがIBMのWatsonをエキスパートシステムと見なす感覚は分かる。アプローチが決定的に違ってて、そのハサビスによるアプローチは、ディープラーニングでありつつ、通常のディープラーニングとは質的にかなり違う。一種のアーティストに近いと思う。ハサビスにしか見えてない、ないし見つけられないアプローチを作り出すのが、抜群にウマくて、それはGoogleによる買収額にも現れてた(あいかわらずGoogleは買い物のセンスがある)。

さて本書は、竹清勇四段による囲碁の本。アルファ碁とは違うが、これもまた読まない碁である。シロウトが打つ分には、これだけで十分に役立つだろう。アルファ碁の前には、およそ通用しないだろうが……。

プロやトップアマは序盤や中盤で迷ったとき、「読む」のではなく、「勘」で着手を決めることがあります。しかし、ただあてずっぽうというわけではなく、それまで培ってきた経験からある一定の法則に従って着手を決めているのです。

本書は、その法則を5つにわけて「新格言」として紹介しています。

読まなくても碁に勝つ法 (囲碁人ブックス)

読まなくても碁に勝つ法 (囲碁人ブックス)