『鮎川義介- 日産コンツェルンを作った男』堀雅昭
『鮎川義介- 日産コンツェルンを作った男』堀雅昭
鮎川義介による「事業は創作であり、自分は一個の創作家である」という言葉は、その波乱の生涯を見ると、深く納得させられる。たしかに創作家でもなければ出来ないような、非常に旺盛な事業展開だ。
こういう人物の場合、もはや途中から事業は「金儲けのための手段」ではなくなっていて、あふれ出るアイディアを叩きつける、画家にとっての絵筆のようなものだと思う。そして、その結果として鮎川コレクション(日産コンツェルン)が後世に残された、といった具合だ。社風は画風と考えてみると、さらに分かりやすいと思う。そういった視点から書かれた、幾多の経営者の紹介書があってもよさそうだな(自分が読んでみたい)。
生涯を通じて、大衆を視座にすえて行動したことに光をあて、実業家・鮎川の実像に迫った労作。
井上馨の富国主義を受け継いで、戦前は満洲産業界を主導し、戦後は岸信介とともに高度経済成長を支えて中小企業の育成に努めた鮎川義介、その波乱の生涯。
- 作者: 堀雅昭
- 出版社/メーカー: 弦書房
- 発売日: 2016/02/24
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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