『宿澤広朗 - 運を支配した男』加藤仁
『宿澤広朗 - 運を支配した男』加藤仁
ラグビーで日本がスコットランドに勝った過去を知らなかった。そんな番狂わせがラグビーでも起こりうるんだな。というか、そのレベルの大金星は、運を支配して実現できるものなのか?
宿澤という人物をまったく知らなかったので、いま調べたところ、他にもおかしなことを色いろ起こしている。市場営業統括部長をしていた頃には、年4000億円の業務純益を叩き出し、当時の三井住友銀行の4割を稼いでいるし、銀行で執行役員やりながら、日本代表強化委員長を務めるってのも、ふつうは真似できない芸当だ。
「努力は運を支配する」が座右の銘だったらしいが、宿澤の言う努力とは、どういった次元のものなのか想像すらできない。だいたい俺は、運を支配したいと思ったことはあるが、本気でそれを支配できるとは考えたことがない。もうスタートラインのところからして違う。それでは運を支配できるわけがない。つまり俺の場合、努力以前の話のようだ。
日本代表監督としてスコットランドに対し史上初勝利を収め日本ラグビーの基礎を築いた改革者、そして敏腕ディーラーでもあった銀行マンの苦闘の生涯を掘り起こした傑作評伝。
- 作者: 加藤仁
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2016/01/21
- メディア: 文庫
- この商品を含むブログを見る