『清沢洌の自由主義思想』 佐久間俊明
『清沢洌の自由主義思想』 佐久間俊明
『暗黒日記』と聞くと、「中二病かな?」と思ってしまうが、これは清沢洌が太平洋戦中に書き残した日記だ。
井口喜源治に学び、アメリカに渡り、記者としてヘンリー・フォードやムッソリーニと会見し、国際ペン・クラブ世界会議では日本代表を務めた。そんな優秀なジャーナリスト清沢だったが、情報局の執筆禁止者リストに入ったことで、報道の現場から締め出されてしまう。そこで戦後を見据えて書き始めたのが『暗黒日記』だ。1942年の時点で戦後が見えてたのが、さすが一流って感じだな。ただ同時にそこには、『アンネの日記』的な悲しみも見える。
この本は、その清沢の思想にフォーカスしたものだ。ちなみに俺が清沢の仕事で「すげーな、それ!」と思ったのは、ブラックリストに載った後、『外政家としての大久保利通』を書くことで、時の外交を間接的に罵倒したヤツ。大久保を称揚する本だから情報局は動けず、それでいて大久保と真逆の政策を暗に吊るし上げたんだから、相当アタマいいよな。
戦中の『暗黒日記』の著者清沢洌は、軍国主義に抗した戦前期日本を代表する言論人である。三木清や戸坂潤らとの「自由主義」論争など、その思想と行動を昭和思想史の視角から解明する。
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- 作者: 清沢洌,山本義彦
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