『国際投資仲裁ガイドブック』末冨純子/濱井宏之/阿部克則
『国際投資仲裁ガイドブック』末冨純子/濱井宏之/阿部克則
TPPは諸刃の剣で、うまく利用できたら有益だし、反対の場合には殺される。関税の段階的な撤廃、その影響はだいたい読める。それに伴う国益の瑕疵を、再規制で取り戻せないとする、ラチェット規定。これはキツいが、趣旨自体は理解できる。非違反提訴(NVC)は、だいぶエグい。巻き込まれないように気をつけたい。で、本書が取り扱う、ISDS(投資家対国家の紛争解決。投資仲裁)。これはマイルドなNVCといったところか。あまり耳にはしないが、実はTPPの目玉だと思うな。
企業はグルーバルに自由な経済活動を行いたい。しかしそうすると、進出した国や地域によっては、企業活動が地政学的リスクにさらされることになるし、実際にダメージを負うケースも出てくる。それを全部カネで解決しようとするのが、ISDSだ。うん、乱暴な説明だな。しかしISDS自体が乱暴な話なんで、その辺は勘弁してもらいたい。札束で殴り合って解決する世界だからな。スマートなようでいて、やってることは全然原始的だろ? 札束で上手に相手国をブン殴るガイドブックが欲しい奴は、とりあえず本書を手にするといい。
TPPに盛り込まれ注目の投資仲裁(ISDS)の具体的手続をわかりやすく解説した待望の書。
- 作者: 末冨純子,濱井宏之,阿部克則
- 出版社/メーカー: 中央経済社
- 発売日: 2016/01/14
- メディア: 単行本
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