『文化進化論 - ダーウィン進化論は文化を説明できるか』アレックス・メスーディ
『文化進化論 - ダーウィン進化論は文化を説明できるか』アレックス・メスーディ
すっげー単純なレベルに話を落として悪いけど、例えばインドは牛を食べない文化、イスラムは豚を食べない文化、ヨーロッパは鯨を食べない文化としてあるわけだろ? ダーウィン進化論を相当アレンジしても、説明には苦戦するんじゃないか? 一方にはまた牛も豚も鯨も食べる極東の国があって……。俺だったら最初から説明を放棄するね。
だから、そんな困難にあえて立ち向かう著者を賞賛したいと思う。よほどうまい理屈をヒネり出さないと、ダーウィン進化論を応用して文化を説明するのは難しい。コンセプトは分かる。そのコンセプトに惹かれるのも分かる。だが俺には最初の一歩が踏み出せない。どんなステップが適切か、まるで読めないからだ。
とりあえず、どこか分野を絞って攻略しないと、すぐに説明は破綻してしまうだろうし、うまく説明できたと思っても、それを覆すローカルな風習が見つかるかもしれず、とんでもなくタフなメンタルを持ってないと、やってられないと思う。しかし、その分だけダーウィン進化論のように、シンプルに説明し尽くせる視点を得られれば、達成感はとてつもなく大きいものとなろう。アレックスの武運を祈る。
人文・自然・社会科学の交差路で立ち上がる驚異のパラダイム。
人類学、考古学、経済学、歴史学、言語学、心理学、社会学など多岐にわたる「文化進化」の世界を進化論的アプローチによって「統合」する。
- 作者: アレックス・メスーディ,竹澤正哲,野中香方子
- 出版社/メーカー: エヌティティ出版
- 発売日: 2016/02/08
- メディア: 単行本
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