BOOK HUNTING

ノンフィクション系の新刊、近刊を平日5冊、週30冊ペースで紹介。児童書から医学書まで。

アート/デザイン

『わたしのいえ』 カーソン・エリス

『わたしのいえ』カーソン・エリス カーソン・エリスによる、初めての絵本。ひとめで分かる傑作感。表紙とタイトルから、そこに描かれるであろう物語と、そのタッチが手に取るように分かる。紹介文も素晴らしい。ただ手元に置いているだけで、幸せになれそう…

『ゲーミファイ - エンゲージメントを高めるゲーミフィケーションの新しい未来』 ブライアン・バーク

『ゲーミファイ - エンゲージメントを高めるゲーミフィケーションの新しい未来』ブライアン・バーク それまで名付けられていなかった、ある手法に対して、2011年に「ゲーミフィケーション(Gamification)」との名前が与えられ、突如として脚光を浴びるよう…

『素材とデザインの教科書(第3版)』 日経デザイン

『素材とデザインの教科書(第3版)』日経デザイン デザインという言葉はひとり歩きしがちだが、最終的にモノとして作られる以上、マテリアルからは切り離せない。しかし素材を置き去りにして語られるデザイン論のいかに多いことか。その点でこの本は何とも…

『アニメーターが教えるキャラ描画の基本法則』 toshi

『アニメーターが教えるキャラ描画の基本法則』toshi なぜかMdNからキャラ描画の本。しかもアニメーターによるもの。「大丈夫なのか?」と心配になるが、表紙イラストのデフォルメ感やアングルを見る限り、フツーにレベル高い。それどころか、これほど生き生…

『ガーゼルガーの黒い真珠 - イスラーム美術の文様 アラベスクの源流を求めて』 アブドゥル・ナセル・サワビー

『ガーゼルガーの黒い真珠 - イスラーム美術の文様 アラベスクの源流を求めて』アブドゥル・ナセル・サワビー 渋い! 実に渋い仕事だ。著者はアフガニスタンの国立ヘラート大教授。イスラムとアラベスクは、切っても切り離せない。よって、その源流を求める…

『魔法の世紀』落合陽一

『魔法の世紀』落合陽一 だいぶ古い本(2015年11月刊)で申し訳ない。俺のメモだ。もうさんざん賞賛されてるので、あれこれ考えず、さっさと読んじまえ。アタリだろ、これ。 国際的な注目を集める研究者でありメディアアーティストでもある落合陽一が、今現…

『ヤマザキマリの偏愛ルネサンス美術論』ヤマザキマリ

『ヤマザキマリの偏愛ルネサンス美術論』ヤマザキマリ 『テルマエ・ロマエ』で知られるザキヤマによる美術論。まず外さないだろう。才能ある変人に対する、歪んだ愛情の深さはよく知ってる。それを原動力にザキヤマは仕事してる感すらあるからな。とり・みき…

『真ッ黒ニナル果テ - 30 years and still counting』MURO

『真ッ黒ニナル果テ - 30 years and still counting』MURO こっちは「彫る」じゃなくて「掘る」の世界。そんで勿論、DJがレコードを漁る方の掘る。レコード掘りも30年になれば、ほとんど求道者の世界。あと、本人の作品が掘られることもあって、例えばDiggin…

『人気の三種が彫れる - 仏像彫刻 上達のポイント』関侊雲/紺野侊慶

『人気の三種が彫れる - 仏像彫刻 上達のポイント』関侊雲/紺野侊慶 仏像彫刻というジャンルの趣味があり、かつ人気仏像もあるらしいというのが、ふつうに驚き。第一に俺は「彫刻が趣味です」って野郎に会ったことさえないんだぜ。そんで「コツがわかる本」…

『UI GRAPHICS - 世界の成功事例から学ぶ、スマホ以降のインターフェイスデザイン』深津貴之/渡邊恵太/菅俊一ほか

『UI GRAPHICS - 世界の成功事例から学ぶ、スマホ以降のインターフェイスデザイン』深津貴之/渡邊恵太/菅俊一ほか この手の本はハズレが多いが、本書は執筆陣が豪華だ。『融けるデザイン』の渡邊恵太、『差分』の菅俊一、インタビューには中村勇吾と、「お…

『朱の記憶 - 亀倉雄策伝』馬場マコト

『朱の記憶 - 亀倉雄策伝』馬場マコト 五輪エンブレムのドタバタで、変な角度から見直されるようになった亀倉雄策。現代にもスターデザイナーと呼ばれる連中はいるものの、巨星亀倉の前では霞んでしまう。亀倉の仕事を知れば知るほど、あまりのスケールのデ…

『もじ部 - 書体デザイナーに聞く デザインの背景・フォント選びと使い方のコツ』雪朱里+グラフィック社編集部

『もじ部 - 書体デザイナーに聞く デザインの背景・フォント選びと使い方のコツ』雪朱里+グラフィック社編集部 フォント作家にコンセプトや使い方を尋ねる無茶な企画。一般に「この曲はどんな気分の時に聴いて欲しいですか?」「この映画は誰と観たらいいで…

『しかめっ面にさせるゲームは成功する - 悔しさをモチベーションに変えるゲームデザイン』イェスパー・ユール

『しかめっ面にさせるゲームは成功する - 悔しさをモチベーションに変えるゲームデザイン』イェスパー・ユール MITのゲーム関連研究Playful Thinking シリーズから。このシリーズはわりとおもしろそうなので、伊藤穰一パワーでも使って全部翻訳してもらいた…

『モービー・ディック・イン・ピクチャーズ - 全ページイラスト集』マット・キッシュ/柴田元幸

『モービー・ディック・イン・ピクチャーズ - 全ページイラスト集』マット・キッシュ/柴田元幸 冴えない図書館員マット・キッシュが、メルヴィルの『白鯨』(シグネット・ペーパーバック版。全552ページ)にイラストを添えた本。カフェテリア料理人、病院受…

『作詞の勉強本 - 「目線」と「発想」の拡大が共感を生む物語を描き出す鍵となる』島崎貴光

『作詞の勉強本 - 「目線」と「発想」の拡大が共感を生む物語を描き出す鍵となる』島崎貴光 この手の本は、もうまるでペラッペラのゴミか、思いがけず度肝を抜かれる掘り出し物か、そのどちらかしかない。中間はない。この本がどちらか分からないが、あけす…

『憑かれたポットカバー - クリスマスのための気落ちした気色悪い気晴らし』エドワード・ゴーリー

『憑かれたポットカバー - クリスマスのための気落ちした気色悪い気晴らし』エドワード・ゴーリー エドワード・ゴーリーを柴田元幸の翻訳で。このコンビ、ずいぶん長いつきあいだな。クリスマスはもう過ぎてしまったが、あれは幻だったから問題なし。 「我は…

『細野晴臣 録音術 ぼくらはこうして音をつくってきた』鈴木惣一朗/細野晴臣ほか

『細野晴臣 録音術 ぼくらはこうして音をつくってきた』鈴木惣一朗/細野晴臣ほか 「細野晴臣」と「録音術」の組み合わせが、アンド検索の候補に出て来ても、ちっとも不思議ではない。そのまんまの題名。マジでタイトルに違和感なさすぎ。 40年におよぶ細野…

『「音大卒」の戦い方』大内孝夫

『「音大卒」の戦い方』大内孝夫 協力に武蔵野音楽大学とクレジットされ、出版社がヤマハミュージックメディアってのがツボったが、著者の前作『「音大卒」は武器になる』はなかなかの高評価。今作もただのタイトル勝負ではなく、きちんと中身を伴っていると…

『デザインからデザインまで』廣村正彰

『デザインからデザインまで』廣村正彰 印象的なカプセルホテル9h(ナインアワーズ)でグラフィックデザインを担当した廣村正彰。ggg Booksに採用されてる野郎だし、そんなおかしな本でもないだろう(雑な判断)。 領域を超えて拡張を続ける廣村のデザイン。…

『世界グラフィック・デザイナー名鑑 Graphic Design Visionaries』キャロライン・ロバーツ

『世界グラフィック・デザイナー名鑑 Graphic Design Visionaries』キャロライン・ロバーツ Grafikのキャロライン・ロバーツが選んでる時点でハズレはないだろ。日本からは亀倉雄策、田中一光、横尾忠則が選出されている。 これ一冊でグラフィック界のレジェ…

『詩の寺子屋』和合亮一

『詩の寺子屋』和合亮一 和合亮一が寺子屋風に詩を語るんだったら、100パーおもしろいはず。おもしろくなかったら、この本自体がつまらないんじゃなく、お前の波長が詩と合ってないんじゃないか。 耳に残った言葉、心に浮かんだ言葉を、毎日書きとめておこう…

『アートディレクションの「型」。』水口克夫

『アートディレクションの「型」。』水口克夫 絵で話す連中といえば、グラフィックデザイナーや漫画家やイラストレーターを俺は想像する。アートディレクターが絵で話している場面はイメージできない。逆にそこが気になった。 コピーライターが言葉で話すよ…

『サウンドエフェクトの作り方』小川哲弘

『サウンドエフェクトの作り方』小川哲弘 俺は正直サウンドエフェクト自体に興味はない。だが、それっぽい効果音を作る知恵には興味がる。ウソを本物のように仕立てる技術のようなものだ。表紙の写真はヒドいが、オカシな方法で音を作っている様子は伝わって…

『ヒット曲でわかる! ROCK&POPの音楽理論』ジュリア・ウィンターソン/ポール・ハリス

『ヒット曲でわかる! ROCK&POPの音楽理論』ジュリア・ウィンターソン/ポール・ハリス タイトルの訳が糞ダサいが、イギリスは現代クラシック音楽で知られるFaber Music社から出てた本なんだぜ、これ。 ポピュラー音楽ならではのコード進行、用語、楽器、ジ…

『MOGA』最上もが/桑島智輝

『MOGA』最上もが/桑島智輝 安達祐実の再婚相手でもある桑島智輝の写真は、ちゃんとポートレートしてる。バカな奴をバカっぽく、エロい奴をエロっぽく撮る。つまり、そいつらしさを撮影できる。でんぱ組の最上もがが相手でもそれは同じだろう。金髪ロリ顔ス…

『レコードは風景をだいなしにする』デイヴィッド・グラブス

『レコードは風景をだいなしにする』デイヴィッド・グラブス デューク大学から出版された表紙がえらくカッコいい。どうよ? むしろ原著のが欲しいな。 「録音」に不向きでLPやCDを聴くことで追体験できるものではない音楽の録音物に録音されているものとは一…

『心のなかを描きたい!』小池寿子

『心のなかを描きたい!』小池寿子 絵画入門かくあるべし。子供向け「美術っておもしろい!」シリーズの第四弾。ド直球なタイトルが胸を打つ。初期衝動で筆を握るのが、もっともまっとうな絵画のあり方なはず(それに応えられる入門書の少なさといったら……)…

『だれのものでもない岩鼻の灯台』山下明生/町田尚子

『だれのものでもない岩鼻の灯台』山下明生/町田尚子 タイトル、カバー、テキストすべてがクールな絵本。本書の主人公は灯台(無生物)だ。しかも絵本なのに、擬人化されてはいるものの、足がないから動けない。確かに灯台だから仕方ないとはいえ……、これで…