BOOK HUNTING

ノンフィクション系の新刊、近刊を平日5冊、週30冊ペースで紹介。児童書から医学書まで。

歴史/地理

『ギャルと「僕ら」の20年史 - 女子高生雑誌Cawaii!の誕生と終焉』 長谷川晶一

『ギャルと「僕ら」の20年史 - 女子高生雑誌Cawaii!の誕生と終焉』長谷川晶一 レジェンドな雑誌『Cawaii!』の足取りをたどる本。この雑誌の表紙は、30メートル先からでも視認できるほどヒドいものだったが、それでいて「かわいい」を自称していたんだから恐…

『ガーゼルガーの黒い真珠 - イスラーム美術の文様 アラベスクの源流を求めて』 アブドゥル・ナセル・サワビー

『ガーゼルガーの黒い真珠 - イスラーム美術の文様 アラベスクの源流を求めて』アブドゥル・ナセル・サワビー 渋い! 実に渋い仕事だ。著者はアフガニスタンの国立ヘラート大教授。イスラムとアラベスクは、切っても切り離せない。よって、その源流を求める…

『われら勝ち得し世界 - セクシュアリティの歴史と親密性の倫理』ジェフリー・ウィークス

『われら勝ち得し世界 - セクシュアリティの歴史と親密性の倫理』ジェフリー・ウィークス ジェフリー・ウィークス、ひさびさの翻訳書(本人は比較的多作)。ネタがLGBTってだけだと、正直あんま興味が出ない。しかし性の解放、女性解放という流れを追った上…

『若い読者のための第三のチンパンジー - 人間という動物の進化と未来』 ジャレド・ダイアモンド/レベッカ・ステフォフ

『若い読者のための第三のチンパンジー - 人間という動物の進化と未来』ジャレド・ダイアモンド/レベッカ・ステフォフ 『銃・病原菌・鉄』で知られるジャレド・ダイアモンドの新刊! となれば、もっと大々的に取り上げたいとこだが、内容的には旧作のアップ…

『メソポタミアとインダスのあいだ - 知られざる海洋の古代文明』 後藤健

『メソポタミアとインダスのあいだ - 知られざる海洋の古代文明』後藤健 古代海洋文明と聞いただけで、いきなりテンションが上がってしまう奴のための本。ヴェーイ!というか中東情勢が悪くなりすぎて、人類最古の文明跡地を訪ねにくくなった現状はマジで憎…

『お金の流れでわかる世界の歴史』 大村大次郎

『お金の流れでわかる世界の歴史』大村大次郎 元国税調査官がカネの流れから世界史を読み解く。イロモノ本と間違われそうだが、歴史と経済は切り離せない。歴史から経済を切り離そうとする姿勢は、ユダヤ人を両替商の卑しい連中と見なした古代人のそれと同じ…

『7人の主君を渡り歩いた男 - 藤堂高虎という生き方』 江宮隆之

『7人の主君を渡り歩いた男 - 藤堂高虎という生き方』江宮隆之 ニコニコ大百科かアンサイクロペディアの無駄に充実したエントリに目を通すと、藤堂高虎の強烈なキャラを知ることができる。もちろん、だいぶ脚色が入ってることを考慮する必要はある。どんどん…

『ネパールに学校をつくる - 協力隊OBの教育支援35年』酒井治孝

『ネパールに学校をつくる - 協力隊OBの教育支援35年』酒井治孝 あれこれ活動している海外青年協力隊。やってることが多岐にわたりすぎるので、じっくり一ヶ所で取り組んだ例を読んでみたい。そんな時これなんかはもってこいだ。この本ではネパールでの高校…

『食糧と人類 - 飢餓を克服した大増産の文明史』ルース・ドフリース

『食糧と人類 - 飢餓を克服した大増産の文明史』ルース・ドフリース 2007年にマッカーサー・フェロー(通称「天才賞」)に選出された気鋭のコロンビア大教授ルース・ドフリースの意欲作。ビッグヒストリーが好きな奴なら、この一冊は外せないだろ。 科学力と…

『地理から見た信長・秀吉・家康の戦略』足利健亮

『地理から見た信長・秀吉・家康の戦略(読みなおす日本史)』足利健亮 もうこれ絶対おもしろいだろ。交通網に流通網、それに情報網が、今とは比べ物にならないほど未発達だった時代、どこに拠点を置き、どこに目を光らせ、どこを死守すべきかという地理的問…

『危機と決断 - 前FRB議長ベン・バーナンキ回顧録』 ベン・バーナンキ

『危機と決断(上下巻) - 前FRB議長ベン・バーナンキ回顧録』ベン・バーナンキ ヨーダみたいなグリーンスパンの後、FRB議長に就いたバーナンキの回顧録。リーマンショック時の進むも地獄 退くも地獄な状況下、奴は何を手掛かりに決断したのか。俺が知りたい…

『中東特派員はシリアで何を見たか - 美しい国の人々と「イスラム国」』津村一史

『中東特派員はシリアで何を見たか - 美しい国の人々と「イスラム国」』津村一史 サブタイトルから感じられる視線のやさしさがヒット。戦地に出向く特派員には珍しく、著者の津村は東大法卒の超インテリだ。クラウド特典あり。 著者が中東で撮影した未発表の…

『古代世界の呪詛板と呪縛呪文』ジョン・G. ゲイジャー

『古代世界の呪詛板と呪縛呪文』ジョン・G. ゲイジャー 見るからにおどろおどろしいカバー写真。タイトルで「古代世界」と、さも現代と無縁のように書いてるが、呪詛板も呪縛呪文もオンラインではバリバリの現役だぜ。著者はこいつ。京都大学学術出版会から…

『共存の模索 - アメリカと「二つの中国」の冷戦史』佐橋亮

『共存の模索 - アメリカと「二つの中国」の冷戦史』佐橋亮 米中間には、かつての米ソ間にあったような緊張感が目に見えにくい。それは何故なのか? 俺はその辺が気になる。ひょっとして中国には英米圏に苦手意識があるのか。かつてアヘン戦争で蹂躙された苦…

『刑法と戦争 - 戦時治安法制のつくり方』内田博文

『刑法と戦争 - 戦時治安法制のつくり方』内田博文 挑発的なサブタイトルとは裏腹に、書体やカラーリングも含めて古めかしいカバーが激渋。神田の古本屋街に並んでても違和感ない。皮肉でも何でもなく超クール。新しいのに古い。古いのに今に通じる。俺には…

『中世と貨幣 - 歴史人類学的考察』ジャック・ル・ゴフ

『中世と貨幣 - 歴史人類学的考察』ジャック・ル・ゴフ フランスを代表する知性ジャック・ル・ゴフによる貨幣本。歴史人類学的アプローチというのが熱い。逆にこのスケールで貨幣を語ってハズしてたらマズいよな、巨匠的に。 『中世の高利貸』において高利貸…

『エロ本黄金時代』本橋信宏/東良美季

『エロ本黄金時代』本橋信宏/東良美季 たまに河出書房新社は、こうトチ狂った企画を出してくるので、ムッツリすけべキャラだな。書き手はエロ業界に造詣のある本橋、東良なので安心だろう。 雑誌の黄金時代、自由と夢を抱く男たちが築き上げたエロ本文化。…

『イスラム化するヨーロッパ』三井美奈

『イスラム化するヨーロッパ』三井美奈 紹介文が熱い。書き手はクールビューティーの三井美奈。 西欧育ちの若者が、なぜ過激派に共鳴するのか。自由の国フランスで、なぜベールの着用が禁止されるのか。戦後復興の担い手は、いかにして厄介者となったのか。…