BOOK HUNTING

ノンフィクション系の新刊、近刊を平日5冊、週30冊ペースで紹介。児童書から医学書まで。

『エジプト アフマド 毎日がもりだくさん!』常見藤代

『エジプト アフマド 毎日がもりだくさん!』常見藤代

NHK Eテレの「カラフル!」って番組が大好きで、いつも欠かさず見てる。まったく他愛もない15分番組でありつつ、極めて良質なドキュメンタリー。

さて、この偕成社から出てる「世界のともだち」シリーズは、コンセプト的には「カラフル!」に似てる。海外率が非常に高いところ以外、ほとんど同じだと言っていい。子供たちの日常生活が、ほぼ等身大で描かれる。内容としては、ただそれだけ。ほんとに、ただそれだけ。そして、それがすごくいい。

この説明は微妙かもしれないが、例えば戦場カメラマン的なジャーナリストが、戦地のシェルターや難民キャプを訪れ、「この何の罪もない母子が!」とか「無邪気な瞳をしている子供たちが!」みたいな報道をするのも、まあ悪くないが、いささかセンセーショナルすぎて疲れる。その点、このシリーズや「カラフル!」、あるいは「世界ふれあい街歩き」は、肩に力が入ってなくて、その分だけグッと来るんだよなー。何しろ、およそ平凡な日常しか伝えてこないから。

本作はシリーズ34作目で、舞台はエジプト。ムバラク政権が倒れてだいぶ経つのに、治安も経済もいまだ安定しない。そんなエジプトを国際情勢通は、しかめ面で語りたがる。いや、気持ちは分かる。分かるんだが、「それだけじゃないよなー」って気分もある。そんな時に「世界のともだち」を手にすると、やっぱグッと来る。このシリーズはそろそろ終わるが(全部で36ヵ国)、もっと続けてほしい。翻訳して海外で売るのもアリだと思う。コンテンツとして非常に優秀。

首都カイロから北へ90キロ、ナイル川の河口に広がる緑豊かな農村地帯に、11歳の男の子アフマドが暮らしています。

エジプト アフマド 毎日がもりだくさん! (世界のともだち)

エジプト アフマド 毎日がもりだくさん! (世界のともだち)